『羊たちの沈黙』 by ジョナサン・デミ
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読んだ/観た日:2020/04/12
☆映画総合:4.2
ストーリー:4.0
キャラ:4.8
映像:3.5
独創性:3.8
合理性:4.0
深さ:3.5
爽快さ:3.5
おしゃれさ:3.5
他の人におすすめ:3.0
あらすじ/概要
FBIの訓練生・クラリスは、女性を誘拐して皮を剥ぐ連続殺人鬼の捜査に加わることに。彼女の任務は獄中の天才精神科医・レクター博士の協力を得ることだった。クラリスは自分の過去を語ることと引き換えに、レクターから事件の手掛かりを聞き出すが…。
感想/考察
俺が生まれたくらいの映画だもんなあ…すごいよなあ…
こういう猟奇ものっていうのは今では割とあるけど、当時はどういう扱いだったんだろうか。そういう昔の映画を見ると時代背景をしりたくなるなあ…コンテクストがわからない。当時見た人とは感覚を共有できてないなっていう感覚だけはある。
アンソニー・ホプキンスさんの演技がすごい…ベタに脱獄のシーンはやっぱ迫力があったなあ…
終わり方もこの作品の気持ち悪さを表してていいなあ。すごく平和/素朴そうな港町?の通りとこれから死ぬ運命の人間とハンニバルの対比がシンプルでぞっとする。ハンニバルたちが見えなくなってもしばらくその通りが映ってるが、それがなんかこわい。見えてる分には視聴者でいられるが、見えなくなるとハンニバルがこちらに来そうというか現実に紛れてきそうな感覚がして、見えていたときよりなんか怖い。
中学生くらいの時にハンニバルシリーズの小説にはまって厨二病をこじらせたことを思い出した。
こういう構成は個人的に好き。こういうというのは、巨大な悪がいて(ハンニバル)、でもストーリーはそこに向かってなくて(主題はハンニバルなんだけど、一応バッファロー・ビル事件がメインストーリー)、そしてその悪と主人公の境界が曖昧になる感じ。善悪の定義を曖昧にして、人間をモノ自体に還らせる力がある。
なぜこういう悪が魅力的に映るのか。それは彼らが神に触れているからではないか。僕らは薄々、今の世の中を支配する善が人工物だということに気付いている。それは共同体にとっての、あるいは時間軸の異なる善であって、個人やその瞬間瞬間によっては異なる善があることに気付いている。いや…そもそも善なんてものは無いのだ、という事に気付いてしまっている。彼らは顔色を変えずに残酷な振る舞いをすることによって、その純粋な行為、善悪のつかない行為/世界を体現している。僕らの中にあると思っていた善悪のテープラインが、本当は存在しなかったことを知らしめるのだ。
クラリスかわいい